先日ご報告したユネスコ・チェアの人材育成プログラムでは,9月末より10月にかけて世界遺産「富士山」にてエクスカーションを実施しました。

最初に富士山科学研究所と生物多様性センターにおいて,専門家からのレクチャーを受け,富士山における自然環境に関する研究への取組みについて学びました。その後,御師住宅から北口本宮富士浅間神社,1合目の馬返しの富士5合目の吉田登山口等の各所を巡り,富士講巡礼の一端を体験しました。また,山梨・静岡両県の富士山世界遺産センターを訪れた他,各所で専門家や行政担当者からのレクチャーを受け,富士山の世界遺産としての価値をいかに伝え,また保護しているのか学びました。

富士山がその雄大な山麓により裾野を支えられているように,世界遺産の顕著な普遍的価値もまた,より包括的で多様な意味の総体の上に成立しています。そこには,「信仰の対象」や「芸術の源泉」という価値とは切り離すことのできない,自然や無形的な諸側面が一体となった本来的な遺産としての価値が織り込まれています。世界遺産に登録された富士山は,世界遺産という求心性を活かして,その広大な価値の裾野までを含めた美しい山容を伝達する役割を担っていることを学んだように思います。

4日間にわたり,天気にも恵まれ,美しい富士山を大いに堪能するエクスカーションとなりました。