9月24日よりユネスコ・チェアの認可を受けて進められている「遺産保護における自然と文化の連携」の人材育成プログラムを開始しました。4年目となる今年のテーマは「複合遺産」。自然と文化のリンケージを考える上で,まさに本丸ともいえるテーマです。

アジア・太平洋地域を中心とした各国から,遺産の管理などに従事している若手専門家と,筑波大学の世界遺産学学位プログラム,自然保護寄付講座の学生が参加し,世界遺産における3つの諮問機関であるIUCN,ICCROM,ICOMOSからお招きした専門家がレクチャーや個別事例へのクリティックを担当します。また今回は2013年に世界遺産に登録された富士山へのエクスカーションも予定されており,2週間に渡る研修プログラムとなっています。

今や世界遺産の登録数は1121件にも達していますが,そのうち複合遺産は39件のみ。複合遺産の登録には文化と自然の両評価基準を満たすことが求められ,高いハードルがあることも事実です。しかし,今回の研修プログラムは,世界遺産に登録された複合遺産における自然と文化の連携のみを対象にするのではなく,自然遺産に内包された文化的価値,文化遺産に内包された自然的価値も全て含めて,遺産が本来有しているより包括的な価値の総体を再構築・再解釈するアプローチとして連携「リンケージ」を捉えることを考えるものです。また,経過をご報告したいと思います。