1人の学生として考えさせられた地域の文化財との関わり方 [2021年11月]

今回、保存科学演習として松井敏也先生の調査に参加させていただきました。調査地は山形県の南部に位置する飯豊町にある天養寺観音堂です。調査のほかにも飯豊町にある様々な文化財について飯豊町の文化財行政に携わっている担当者の方に説明をしていただきながら見て回りました。

調査の内容は、天養寺にある絵馬を赤外線や紫外線調査すること、また蛍光X線の分析による材質の調査でした。具体的には、天養寺のお堂にある2つの大きな絵馬に使われている色の物質が何か、肉眼では見ることができなくても赤外線や紫外線などを当てることで隠れているものを確認するための調査です。対象となった絵馬は人々の願いが絵として現れたものであり、そこから当時の様子や考え方が窺えました。事前に練習日を設けてくださったことや、TF の深見さんが丁寧に教えてくださったこともあり、スムーズに調査を行うことができました。

しかし、調査等をする中で私の中で忘れてしまっていた大切なことに気がついたように思います。それは、文化財がモノである前に地域の人々などの信仰の対象として残され続けている、ということです。当たり前のことですが、薄れてしまっていましたが、今回実際に文化財に触れさせていただき思い出すことができたと思います。

特に文化財や遺産に関わろうとしている私たちは、研究対象や調査対象物に対してどのように向き合うべきなのでしょう。外部の人間として地域の人々らの手で大切に残されてきた文化財に対しリスペクトの気持ちを忘れてはならない、この大切な基本的な姿勢が薄れていたのかなと自分の視野の狭さに反省するばかりです。

文化財や遺産が今まで残っているのは先人たちの努力があってのことです。地域の文化財を理解し、保存・活用のための方策を考えられる方々がいて今の文化財は残されてきていることを再確認した演習になりました。

                                [Comments by a student O, in the field practice of Prof. Matsui lab]