猿島で水分率測定を行いました!/ A Visit to “Sarushima” for Moisture Content Measurement

富岡製糸場に引き続き, 保存科学演習で猿島(横須賀市)を訪れました。

猿島はかつて東京湾の防衛拠点として砲台などが設置され,要塞として利用されていました。ただ,  実戦では一度も使われたことがなく,砲台跡や弾薬庫などが残っており,2015年に国史跡に指定されています。

トンネルや弾薬庫は,富岡製糸場と同様にフランス積みのレンガ造で今でも残っています。

今回の目的は,トンネル内にある砲台地下施設のレンガに含まれる水分率を測定することでした。

具体的な測定の方法は,直接レンガの水分量を測るのではなく,電気の伝導率を測る機械を利用して測定します。レンガ一つ一つに対して測定し,電気の伝導率が高ければ水分を多く含んでおり,伝導率が低ければ水分が少ないということが分かります。

私にとって,このような保存・修復のための調査を体験するのは初めてで,密かに心を踊らせながら参加しました。

一緒に参加している学生と2人ずつペアになり,一人が測定し,もう一人が記録を担当して行いました。測定する際に気をつけなければいけないのは,脆くなっているレンガを傷つけないことです。あまりに脆くなっているレンガがあれば,無理に測定はせず,劣化が激しいことを記録しておきます。

砲台地下施設の一室だけでも,恐らく数百〜数千個ほどのレンガがあり,全てを測定することは難しいので,ある範囲を決めて,そこにあるレンガを季節ごとに定期的に測定します。今回,我々は一回のみの体験で,定期的な測定は松井研究室の博士の学生が行なっています。

なんと,既に2年ほど調査を継続されているそうです。保存科学の分野は粘り強く継続して調査することが大事なのですね。

電気の伝導率が測定できたら,後日,計算式が埋め込まれたエクセルへ数値を入力していき,水分率を出します。この入力作業も,レンガの伝導率測定と同様,非常に地道な作業で大変でした。保存科学,恐るべし。

猿島での測定が終わると,帰りの船の時間まで島内散策を行いました。

ネット上では,猿島がジブリの代表作「天空の城 ラピュタ」に出てくる廃墟とそっくりだと評判になっているようで、実際に見てみると,レンガ壁にかかる蔦や深緑になったコケの感じが、確かにラピュタのようでした。

保存科学の調査に関わることができ,貴重な経験ができたと同時に,保存科学の地道な作業の大変さを少し感じた1日でした。ありがとうございました。


                                           [Comments by a student K participated in the Prof. Matsui’s practices]