「インタープリテーション概論」(つくば生き物多様性フェスタ)報告
11月30日(日)に「第2回つくば生き物多様性フェスタ」が筑波大学で開催されました。このイベントは、つくば市の生物多様性とその保全活動について市民の理解を深めることを目的としています。今回、「インタープリテーション概論」の講義の一環として、このイベントに学生がブース出展を行いました。
インタープリテーションとは、特定のテーマやメッセージを立て、他者に伝えることで、その人の感情や認識の変化を促し、ときに行動にも影響をもたらすことを意図したコミュニケーションです。パンフレットの配布やガイドツアー、SNSでの発信など、その手法は幅広くあります。本講義では、4チームに分かれた学生が、約1か月の準備を経て「第2回つくば生き物多様性フェスタ」でのブース出展に臨みました。
「何を、誰に、どう伝えるか」「伝えることで来訪者にどう変わってほしいのか」を深く考えたプログラムを企画し、来訪者の気づきや議論を促すことを試みました。
・チーム名「スズメバチサミット」
人間からは嫌われがちなスズメバチをテーマに、他の生き物とのつながりやスズメバチの益虫としての役割を挙げ、単なる嫌われ者では終わらない多様な側面を紹介しました。展示の中心には、メンバーが丹精を込めて自作したレジン封入標本が据えられています(写真1)。
・チーム名「サウンドメモリーズ♪」
つくば市に生息する生き物の鳴き声を読み札にした「音かるた」というゲームを通して、生き物が発する音をよく聴き、それがどう聞こえるのかを自由に表現する体験を行いました。聴覚を用いた自然観察を促すとともに、音の聞こえ方の個人差や表現の工夫を共有することを楽しみました(写真2)。
・チーム名「ピーカン☀フューチャー」
環境問題や生物多様性にまつわる数字を用いた残機制ゲーム「少ない差で生き残れ!ネイチャーサバイバルクイズ」を考案し、現実に起こっている問題の大きさへの気づきと危機意識を促しました。手作りの「生き物多様性マスター入門証」を発行し、形に残る伝え方を実践しました(写真3)。
・チーム名「センスオブネイチャー」
今回出展した4チームの中で唯一、屋外企画を実施したチームです。学内の複数の樹木に実際に触れ、手触りや温度、におい、叩いたときの音などを体感し、五感を用いた自然観察の必要性と面白さを参加者に伝えました(写真4)。また、ワークシートを用い、観察したことを絵や文章で詳細に振り返りました。
フェスタ当日は子どもから大人まで多くの方が訪れましたが、どのチームも大きなトラブルなく無事にイベントを終えることができました。ただ、小さな子ども相手の対応に戸惑ったり、参加人数が想定を大幅に超えてしまったりと、必ずしも予定通りにはいかない場面もあり、あらゆる可能性を考慮した事前準備の必要性が身に沁みました。これから先、企画立案やプレゼンテーションをはじめとした様々な場面で活きるような良い経験になりました。

写真1:ブース展示の様子1

写真2:ブース展示の様子2

写真3:ブース展示の様子3

写真4:屋外で樹木を観察している様子
(M1 鈴木)
