「文化遺産演習」報告
2025年9月11日〜14日にかけて、世界遺産のある五箇山地域にて文化遺産演習を行いました。ここでは主な演習の活動が行われた12日から14日までの三日間の様子を紹介します。
9月12日
午前中、五箇山農業公社の道端氏とカメラマンの林賢二氏と、動画ワークショップに関する打ち合わせを行いました。今回の演習は、五箇山の風景を新たな視点から捉え、映像を通じて自分の考えを表現することが課題でした。林氏が講師を務め、動画制作の指導をしてくださいました。その後、相倉集落を訪れ、学生たちが映像素材を集めるために集落内で撮影を行いました(写真1)。
午後は最終日の発表に向けて、それぞれが撮った映像の整理と編集をしました。その後、ささらづくりを体験しました。五箇山は、「民謡の宝庫」といわれ、民謡を演奏する際に使われる木製の板を紐で繋いだ楽器が「ささら」です。地域住民の大瀬氏が、ささらの歴史や制作方法についてお話しくださり、「こきりこ」の竹で演奏する方法も教えてくださいました(写真2)。

写真1 ロケ地での撮影の様子

写真2 大瀬氏が学生たちに「こきりこ」の演奏方法を指導している
9月13日
9月は稲と「ぼべら」(五箇山特産のカボチャ)の収穫期です。今回は、相倉集落と楮集落で昔ながらの方法による収穫体験をしました(写真3)。地元の方から鎌の使い方や稲を乾燥させるための稲架掛けのやり方、収穫できるぼべらの見分け方などを教えていただき、地域住民と一緒に農作業をしました。このような外部者も参加できる稲刈りやぼべら収穫などの体験活動は、農村景観を保全するための「棚田オーナー制度」や「コーリャク隊」の取り組みの一つです。都会で生まれ育った学生たちにとっては慣れない作業でしたが、収穫の喜びを実感することができました。
農作業終了後には楮集落の聖光寺を見学しました。住職の北田氏が、私たちのために寺院内の聖徳太子像を特別公開してくださり、大変貴重な機会となりました。
夜には、地域住民との懇親会に参加し、昼収穫したぼべらで作った料理を味わいました。住民の方々と食事を共にしながら地域のお話を伺い、さらに、地元のおじさんバンド「ing」の演奏も鑑賞しました(写真4)。「ing」は、およそ45年前に過疎化対策の一つとして結成したバンドで、一時期活動を休止していましたが、数年前、本学の先輩たちが五箇山を訪れた際の提案をきっかけに再開しました。現在でも地域を盛り上げる大切な存在です。

写真3 学生たちが相倉集落で地域住民と一緒に稲刈りをしている

写真4 地域住民との懇親会
9月14日
最終日の朝には、宿泊先「飯美館」のオーナー飯波氏が、旅館周辺の小白川集落を案内してくださいました。その後、合掌の里にて林氏と五箇山農業公社の道端氏と合流し、動画ワークショップの発表を行いました(写真5)。同じ時間帯・同じ場所で撮影した映像でも、学生一人ひとりの視点によって仕上がりは大きく異なり、それぞれの個性が表現されていました。この発表を通じて、改めて相倉集落の景観の魅力を再認識することができました。なお、今回学生たちが相倉で撮影した作品は、11月の平文化芸能祭でモニターを使って展示する予定です。

写真5 動画ワークショップの様子
今回の演習では、五箇山で地域の方々に大変お世話になり、様々な体験交流活動を通じて、集落景観の保全・活用と地域活性化の取り組みについて学びました。現地での演習によって、保存地区のまちづくりは行政機関だけでなく、地域住民の協力も不可欠であることを改めて実感しました。この演習で得た学びは、今後ほかの保存地区を訪れた際にも必ず参考になると思います。
(M1 YE)
