世界遺産演習では、日本有数の豪雪地帯である石川県白山市白峰地区に一週間(2022年8月1日(月)~8月7日(日))滞在し、現地での生活や様々な活動を通して自然環境保全のための協働について学びました。同地域はユネスコの科学プログラムであるユネスコエコパークとジオパークを有しており、それらの国内での保護管理状況についても知見を得ることができました。管理に携わる環境省のレンジャーの方をはじめ、地域の自然保護に関わる様々な人から活動内容や自然保護に対する意識など貴重なお話をたくさん伺うことができました。

白山で植生や砂防ダムについて学ぶ 登山前に体操する学生たち

 白峰では、重要伝統的建造物群に含まれる民家に宿泊し毎朝朝食は学生たちが準備をしました。期間中は、毎日朝から様々なプログラムが準備されているため、日ごろの怠惰な生活が矯正されたことにより、健康的で気持ちの良い朝を過ごすことができました。また、白峰村は標高500mに位置することから8月の真夏でも朝夕は過ごしやすい気候のため、学生たちは空いている時間で思い思いに村内の散歩を楽しんでいました(表紙写真は地元の方からいただいた野菜でつくった朝食)。

 滞在中は金沢大学に短期留学中の学生たちと合流し、英語でのディスカッションやコミュニケーションを通して国際交流や国を越えた知識・意見の交換をすることができました。英語でのコミュニケーションには不安が多い学生も多かったとは思いますが、毎日会話をすることで互いに打ち解け、別れの日はそれぞれが非常に名残惜しそうにしていました。

金沢大学の留学生たちと共に夕食 グループごとに成果物作成

 自然保護や管理について学ぶことだけでなく、白峰やその付近の地域に根差す文化や伝統に触れる機会も多く設けられており、非常に新鮮な体験をすることができました。地元の方々に教えていただいた藁を用いた草履作りは、力の入れ加減で形が大きく異なる難しさがありました。また、国指定重要無形民俗文化財である東二口文弥人形浄瑠璃「でくの舞」の体験では、想像以上に「でく」が重いことや、上演中ずっと中腰で踏む文弥節の足拍子は足腰に非常に負担が大きいことを知り伝統文化・技能の継承の難しさを身にしみて感じる機会となりました。

地元の方に教えられながら草履を編む 人形浄瑠璃の体験

 7日間という期間は、これまで経験してきたどの実習よりも長いだけでなく、他の学生たちと協力して生活することは思いのほか大変であると感じた日もありましたが、思い返してみると1日1日の体験や活動の内容が非常に濃密で、あっという間に過ぎてしまったように感じます。現地で学んだ知識は、夏以降の授業に大きな影響を与えただけでなく、現地で得た人と人とのつながりは私たちを新しい出会いに導いてくれています。学生の中には、実習後白山市へインターンに行く学生や、白峰村の一大イベントである「雪だるままつり」にボランティアとして参加する学生もいました。
 今後も、限りあるこのような機会を毎度最高に楽しみつつ、そこで得た経験や知見をその後へ、将来へと活かしていけるように全力で取り組んでいきたいです。

(M1 松本)