遺産整備計画演習では、上北先生の引率のもと、大学周辺の遺跡や歴史保存地区に赴き、その保存事業や地域再生、観光事業に関わる方々に直接お話をうかがいました。行政文書や史料を通した事前の講義や課題で、現在行われている保存および活用の取り組みや、関連する法制度などの知識を付けて現地を訪れたのですが、現地で実際に遺跡や文化財に指定される建造物の中に入り、現地で生活を営む方との会話を通して、資料だけでは見えてこない工夫や課題に気が付くことができました。
 今回私たちは茨城県内2か所(土浦市、つくば市)と、千葉県佐原、埼玉県川越の重要伝統的建造物群保存地区を訪問しました。それぞれの場所で、遺産に最も近い立場の方々より遺跡およびその歴史的背景や地域に根差す文化、望ましい遺産活用の方法について生の声を聞いたことで、先生が常々おっしゃっている「誰のための遺産なのか」「なんのために、誰のために保全するのか」という言葉の意味を再度考える機会となり、更に今後遺産の保護と活用に携わっていく私たちにとって、より良い整備計画を考える手がかりの1つとなりました。
また、地図を見ながら街を歩き、現在と過去の土地利用の変遷を知ることで、人間がいかにして利用してきたか、自然的条件と遺産の発展について学ぶことができました。なぜここに道があるのか、なぜ道の下った先は細い水路になっているのか、普段は気にも留めない当たり前のまちも、古地図と重ね合わせて昔の地形や土地利用と比べると、その謎はいとも簡単に解き明かされてしまいます。なんだかなぞ解きをしているみたいで、わくわくが止まりませんでした。
 演習では、これらの遺産整備に関わる学びだけでなく上北先生の「現地は味覚から学ぶことも大事」という言葉のもと、演習先では毎回「食べること」も意識していきました。履修する際にはぜひ上北先生にお勧めを聞いてみてください!

土浦市亀城(2022/04/22)

県指定文化財の蕎麦屋さんで100年続く蕎麦を食べました(吾妻庵総本店)

地図から今昔の地形の違いや、土地の利用方法を解説してもらいました

筑波山麓小田城跡、平沢官衙遺跡、国登録有形文化財矢中邸(2022/05/13)

掘り炬燵に集い、往時の生活を体験する学生たち(矢中邸)

整備に関わる世界遺産専攻修了生から建物内の案内をしてもらいました(矢中邸)
筑波山麓小田城跡、平沢官衙遺跡、国登録有形文化財矢中邸(2022/05/13)

三菱銀行佐原旧本館を事例に指定文化財の修復方法や建築的特徴を学ぶ

上北先生おすすめ!舟運で栄えた佐原の醤油を使ったしょうゆジェラート

埼玉県川越市(重要伝統的建造物群保存地区)(2022/06/03)

歴史的建造物(土壁の酒蔵)の活用事例を見学(展示ホールとして部分的に改修)

(M1 松本)